top of page

純血α×平凡Ω

《人物》小塚×江藤
αは全ての才能を備えた有能種だ
これはあながち間違ってはいない
だが、その分周りからの羨望と期待は大きい
それにすら応えられてしまうのもαの才能なのだ
同級生の小塚はαらしい
しかも純血だという

αとΩ、αとβで番が出来た場合、運が良ければαが生まれる
数が少なく、秀でた種を求めて他種はαを掴もうと必死なのだ
その為のグッズも多く販売されている
だが、αの殆どはその様な安い物じゃ簡単には堕ちない

αとαの番は非常に稀だ本能的にお互い惹かれない様になっている
何故なら、他種と交尾した方がαの数を増やせるからだ
それに、純血はリスクが高い確実ではあるが、周りからの発情をより一層受けてしまうのだ
薬さえ飲めば、症状は治まるらしいが

そして小塚はまさにαと言う雰囲気だった
純血だなんて雑誌の中かテレビの中ぐらいでしか見たこと無かった俺にとっては遠い存在だった

個人的にはそこらのβが番となっても良いのだが、同じクラスの奴が純血だと話したら、母親は血眼になって俺に言った

「どんな手を使ってでも他のΩに負けるんじゃないわよ!」
正直、番相手なんてこだわりの無い俺からすれば、優良物件過ぎて恐れ多い

そして、このクラスにはΩが多い

つまりはΩである俺の敵は多いのだ
偶にキタ奴が発情抑制剤を貰ったりしているのをよく見る
月イチが平均的だが、自分はまだ不定期で安心出来ない
いつ来るか堪ったものじゃない
来たらきたで今迄の溜まった分が発散されるからか、ベッドから出れない程に辛いそんな時にβが羨ましくなる

朝イチの甘い悲鳴が聴こえる
顔面偏差値が異常に高い軍団に囲まれて本人が全く見えない
ここまで来ると怖い
授業が始まり、お爺さん講師の話に欠伸が出る程よく暖かい気温が緩く眠気を誘う
そして気が付くと、俺は寝て居たらしい
心地よい感覚から肩に感じた振動で早急に乖離される

「江藤君。もう3時限目の授業始まったよ」
「...んぇ??」
目の前には真っ白のシャツ
どうやらクラス委員長である小塚が移動教室だとも知らずに眠り転けている俺を呼びに来たそう
自分の間抜けさが小っ恥ずかしくて、垂れた涎を拭う

「そんなに急がなくても良いよ。僕もサボりたいし」
適当な椅子に座り、スマホを取り出した
小塚に親近感が湧いた

何をしても完璧過ぎて一つも共通点の無かった男が目の前で緩やかに過ごしている

「...小塚も人間なんだな」
ふと口から溢れ出た本音

真っ黒な瞳がこちらに向けられる
初めて目が合った心臓が大きく中で跳ねた

「あははっ。当たり前じゃん」
カラカラとした声とは反対に、目の奥は笑っていなくて黒くてドロドロした闇と本性が居座っているようだった

「何でも完璧で模範生って思ってた」
静かに喉の奥で笑っていた音が消えて静粛怖く感じた瞳は再び下の画面に向いた

「失望した?」
「...違うけど...」
囲まれた小塚は乱反射して輝いて見えていたが、本体だけになると光なんてものはなくて黒なんて簡単な色じゃ無い、混じり合った深い何かが滲んでいた

気軽に「相談しろよ」なんて言えない様な
ただ感じただけで、確信じゃない
だから本人に悩みがあるか聞けない小塚との距離が分からない


「なぁ、そろそろやばいから行こうぜ」
起されてから15分程針が進んだ
幾ら相手が小塚であろうと若干の不信感は湧くはずだ
そして俺にもだ

「そうだね」
小塚がスマホを仕舞ったカラカラと、教室の扉が鳴った


「あんた。ホントに小塚君?とかって言う子狙ってるの?」
「んな訳ねーじゃん」
姉が大きく溜め息を吐いた
βの姉は心配性で、プラスαの純血に興味があるらしい
確かに、あの小塚に好かれ、尚且つ番になれたとしたら玉の輿なんてレベルじゃない
最早奇跡だし、本家の末代まで語り継がれるだろう

『雑魚Ωの癖に、純血α様の番になりました』なんて笑える
絵本とか小説位でしかそんなハッピーエンドなんて無くて、現実はもっとシビアだ

姉の部屋からポテチの袋を掻っ攫って部屋に戻る
俺がこうやって怠けてる間にも他のΩ共はやれスキンケアだの、やれダイエットだのと頑張っている

確かにあいつは同じ人間には思えないくらいにイケメンだし完璧だ
だが、俺一人にはあいつの闇を背負いきれそうにない
それに不釣り合い過ぎて自分に笑いさえ出てくる


朝になる
今日も憂鬱な日の始まりだ
あいつもこいつも、隣の家のオバサンだって向かいの家のちっちゃい葵ちゃんだって鬱なはずだ

機械の様に同じ行動パターンで家を出ていく
相も変わらず人の多い電車に揺られ学校に行く何も変わらなかった
そう、いつもの有り溢れ過ぎた日常が今日ものうのうと過ぎて行く筈だと信じて疑わなかった

朝のホームルームが終わり、一時限目が始まり眠りの小五郎を決め込む
朝から地学はきつい
プレートとか足の下の事なんか考えたことも無かった
今更「ここにこれがあるのよ〜」なんて言われても実感湧かない

だが、そんな俺を不快感が襲う
指先が細く震え、下腹部が痺れる全身に甘い痺れが起き、キュンキュンとオスの子宮が唸る
中からトロリと液が溢れてきた感覚が‪起きた

この感覚は中学時代から何度も味わっているあぁ…発情だ

初めの方に説明した通り、俺の発情は稀なせいで深刻だ
しかもこんな日によって非常用ポーチを忘れて来た
ジグジグと起きる感覚に堪えようとすればするほど、そこに神経を集中させてしまう
冷や汗というか、頬が上気して湿る手を上げる

「便所…行って、きます…ッ」
きっと今、相当な腹痛に堪えてると思われているだろう
だが俺はそんなことを気にする程余裕は無かった
トイレに行って一回抜いて落ち着かせようとしたが、生憎先客がアフンウフンしていた為、他に行かざるを得ない

腹を押え足を引きずりながら歩く俺は、宛ら負傷したヒーローの様だ
とにかく特別棟へ行き、今は使われていない埃を被ったプレートの貼られた扉に雪崩込みながら入室した

重く荒い息を吐く
止めどなく興奮状態に強制的にさせられている脳はもう状況関係なくドロドロになってしまっていて自分のペニスを扱く手が止まらない

理性の箍が外れた今、この特別棟の教室は自分にとって最高の空間になったのだ
 家では家族を気にし、思う存分自分の性を解放出来ない
彼氏も番も居なかった俺は布団で寝て何とか過ごして来た
だが俺は内心は自分自身をぐちゃぐちゃにしてやりたい欲求がいつも燻っていた

変態なのだろうか?だとしたら人類皆変態だ

動きずらさの根源であるズボンを脱ぎ去る
性器な筈が無いアナルからΩ特有の淫液が溢れ出す
人差し指を挿入れる

風呂場で何度か弄ったことはあったが、それ以上は発情程の興奮もなく辞めてしまった
だがどうだろう今、俺はどれ程浅ましいのか
人が近場に居ないことをいい事に、犬の様にヘコヘコと腰を揺らしながら指を出し入れしている


「んん…っ、うッ、く、ぅぁ♡ぁ"」
じゅぶじゅぶという水音が響く
授業で習った前立腺を2つ指で軽く撫でる
まるで快感の根源の様に、そこだけ全神経が集まって、より淫らな痺れが脊髄から脳まで響く

ペニスを馬鹿みたいに扱いても得られない快感中からのじわじわとした確実な甘い痺れ
気持ち良くてそこだけ馬鹿の一つ覚えのように弄ってしまう

あ、あ、学校なのにッ、おれぇ♡「んひッ、…ぁっぁぁ"ぁ…ッくぅ、ん♡♡」
ズコズコと奥まで指の届く範囲まで突く
将来、誰かにペニスを入れられる所
自分のオス子宮口が亀頭で潰され、拗られ、嬲られる

そんな妄想が俺を更に掻き立てる
こんな細いモンじゃなくて、もっと太くて熱くて絶対的なモノ
頭の中では既に誰かに犯されている自分
手を押さえ付けられて、ごりごりと中を容赦無く穿つ
脚を全開に開かせられながら奥までも開かれる
だが妄想の人物が薄く形作られる

あぁ…小塚だ

絶対的な存在ヒエラルキーの頂点
あんな絶対的存在のペニスを下で咥え込んだとしたら
今まで密かに見ていた表情では無い顔
完全に俺の想像上のものそれでも愛しくて自分は改めてΩだと実感する
涙で全てボヤけるもう何度もイってるのに、なかなか発情が引かないそれ所か益々酷くなる
自分の体が自分のモノじゃ無いみたいで怖くなる

何かの存在でか、全身が受け止め切れないほどの欲情が堤防を決壊したことによって粟立つ

「江藤君?」
ガチャッと音を立ててドアノブが回される
開ききる前に誰が来たかなんて分かってしまう
香りが、‪α‬の香りが鼻を囲む
1番来ては行けない小塚が何故ここに?

「ッ…発情抑制剤、多分そうだと思って」

「はぁ、ぁッ…あいが、とお…ッ」
何とか掻き集めた理性で体勢を戻し、話すが駄目だ
今すぐにでも押し倒したい駄目だ、ッ、小塚は俺の為にっ俺の為?俺を少しでも想ってる?違うッ、ただ哀れなだけで!

目の前がドロドロに溶かされる唇が何かに触れた
その瞬間、歓喜するかの様に全身が全神経に稲妻が流れる
甘くて熱くて苦しい稲妻
アナルからの液の分泌も止まらないし涙も止まらない全身液にまみれる

「…ごめんね…ッ」
鎖骨まで降りた小塚の顔が香りが全てから俺に刺さる刺さって刺さって、全てが甘くてもうどうしようもない
チャックから取り出されたそれはもう凄い俺のΩペニスなんか足元に及ばないぐらい
見ているだけなのに息が荒くなる
開いた脚の間に小塚が入り、あとは挿入のみ宛てがわれる
これが、今から中に、俺の中に、奥まで何度も何度もッ
まるでマーキングするかのように小塚が、腰を前後に揺する
その先には俺の孔があって興奮は絶頂期に登っていく

「…ぅあッぁ、ンひッぁ♡♡♡♡!!ッ」
精液が噴き上がる
まだ前戯の内でも、圧倒的な種付け主の前では体が馬鹿になる
早く欲しくて腰が動く
理性なんて台風の前の枯葉の如く、本能の前では何も意味を成さない

「くらさぁッ…なか、♡♡いれッ、おねがぁしまぁッ、♡」
もう自分か何言ってるかなんて知らないし知りたくもない
トロトロのそこに小塚が狙いを定める
そして勢い良く中に入り込む
狭いソコを切り開いて行く
だが、先が全て入り切ると、更にズパンッと奥まで突き上げた

吸い込めなかった息が漏れる



「ーーーーッ♡♡!?!!♡♡♡♡"♡♡"ッ!!ひぃ"ぁっあっぁ"ぁあ"♡♡!?!!」
俺の声なんて微塵も残さない、雌の声が押し出た
目の前の純血な精子を求めて中が吸い付く
自分で意識していないのに本能が体を動かす
ビクンビクンと跳ねて腰を痺れさせていても、雌脳が腰を少しずつ動かす
小塚を見ると、その目は圧倒的な捕食者であった
中を食い破られる恐怖と問答無用に強制な種付けが行われる
そして、俺は背筋から尾てい骨、子宮まで甘い甘い稲妻を走らせた
ゾクゾクする

ペニスがずろろッと外に出たと思ったら次の瞬間には最奥を殴りながら内臓を引き摺り回す
小塚の香りと、初めての快感と混乱に脳内はパンクして、もう自分の本能を制御出来なくなっていた
獣の発情期の様に腰だけ上げ、小塚が上から頭を押さえつけながら子宮口を突き上げて突き上げて突き上げて
呼吸さえ出来ない

もう、犯し殺される


キィーンコーンカーンコーン!!!
チャイムの音が遠くから聞こえた

それと同時にパンパンと響いていたピストンの音は収まっていく

「ひぃっ...♡♡ぉッ、ぁっあっ...、はぁ、はぁ...♡♡♡♡ぁ♡」
ごぽっと溢れる精液が内太ももを雪崩る
身体中に歯跡と内出血、自身が吐いた精液等など指先が細かく痙攣する

そして俺の意識はここで途絶えた
目を開けると家の天井だった
起き上がろうと体を捻ると、腰から鈍痛が襲う
スマホを取ろうと手を伸ばすと、自分の腕がとんでもない事になっている事に気が付いた

「ひぇぇーーーッ!?!!!?」
リンチされたんかって位にグロくなった自分の腕を見るべくパジャマを脱いで鏡を見る
鎖骨と臍辺りがもう凄かった

そしてみるみると要らない記憶が蘇る
俺がタイミング悪く発情した事、小塚にフェロモンを当ててしまって凄いことになった事、そして大量に中出しされた事

はッ!!妊娠してないよな!?
腰やら噛み跡やらで身体中が痛い為、スマホで母に電話する
動揺しまくって指先が震えて、危うく学校に電話するとこだった

『はーい、何〜?』
「かかかか!?おおおお!」
『は?』

ブチンッ
あのババア〜〜ッ!!電話切りやがった!!!許さねぇ、もうここで子供産んで死んでやるぅー!!
「あんたさ、母さん今仕事戻ったばっかなんだから、私に言えよ」
扉から姉の声がした

「隣まで声丸聞こえなんだっつーの」
「お、俺ッ、どうなったの!?」
この後煩いという理由で頭を殴られたのはココだけの話
どうやらあの後小塚が俺をタクシーで送ってくれたらしい

発情期のΩを犯してもαはなんの罪にもならないのに頭を下げた
常識のある人間で良かった
まぁ、ガキこさえたら良かったもクソもないのだが


そんなこんなで次の日
相変わらずダルいぐらい太陽は輝いている眩しい
そして何より学校に行きたくない
小塚に会うのが気まずい、完全に俺のせいだし事前に自己管理して抑制剤を飲んでいれば避けられたことだ

小塚にあんな事させてしまった事が申し訳ない
教室に入り、スマホを弄るそして決まった時間に甘い歓声が学校中に響き渡る

そしてそういう日に限って小塚の姿が全く見えないし、席も俺の方が前だから授業や休み時間で小塚が前に来ない限り見ることは無い

もしかしたらあれか、俺だけ意識してんのか
その可能性あるな
向こうからすりゃ数多の中のアクシデント付きの雌だもんな
1度謝りゃそれで殆ど関係終わりだしガキ出来ても金払ってくれりゃ、俺だって満足だし...
なんなら『俺の視界に入ってくんじゃねぇよ。Ωの癖によ』とか言われるかも

はぁ...別に嬉しかった訳じゃないけど...、自分の人生に一度あるかないかの体験だったな
今回で処女じゃなくなったけど、まあ中古のΩをオナホ代わりにでもしてくれるβを適当に見つけないとな
先ずは母さんを安心させてあげなきゃ
孫の顔も見せてあげないと


体育の時間になる最悪な事に長袖を忘れた
最近は暖かいしこれまでの俺は半袖で走っていた
今思うとただのアホだなアホの生徒1って感じモブ、本当にモブ
皆が走っているのを脇目に自分の鎖骨辺りを撫でるザザザァと頭上の松の枝が風で揺れた

「江藤君...隣良いかな?」
体育座りで埋めていた頭を覗かせると、小塚だった俺なんかに何の用だろうか

「勝手にどうぞ」
小塚はありがとう、と小さく言うと思ったより近くに座った

「江藤君、本当にごめんなさい」
驚きで頭が勢い良く上がり、小塚の横顔を目視する

「な、何言ってんだよ!小塚は悪くない。悪いのは俺だよ」
そんな事ないよ!と言うのを少し期待していたが、小塚は真っ直ぐ見たまま俯く
いや、なんか言ってくれよー!

「江藤君は覚えてるかな...。入学式に『純血?そんな奴に限って普通だったりすんだよ』って言ってたよね」

やっべぇ...知られてたんだそれ
冷や汗が垂れる
もしやその時の復讐か!?

「そんな事言われたの初めてで、僕なりの解釈で悪いけど江藤君だけが僕を僕として見てくれたって思ったんだ。だから」
生徒達の掛け声が妙に大きく感じた
駄目だ、そこから先を言ってはいけない
もう、俺の顔は茹でダコも顔負けで白旗をあげちゃうレベルに真っ赤になっている
自分で熱が急上昇していくのが分かる

「僕はもっと君を知りたい。好きだ」
背中から何かがゾワゾワと這い上がってくる

それと共に強かった風が心地よく感じた
そして地の底に見えた獣の様な小塚の瞳に俺が映る
初めから俺は捕われてたのかも知れない
こちらに向けられた顔と真っ黒な瞳に光が入った
ただの黒かと思っていた目は、色のレイヤーが何重にもなったような色だった

「あ、...ぇ...?」
「次こそは江藤君を確実に孕ませる」


ぶわっと好きが溢れた

純血α×平凡Ω: 概要
bottom of page